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ウーマンリブのおばさんたちは、女性を台所に縛りつけるな、とはいうものの、ともあれ、主婦にはれっきとした台所、あるいは現代ふうにキッチンという女の城がある。
「御台所」は貴夫人の尊称である。
しかし多くの家庭では夫の座らしきものはない。
家に帰り着いた夫は夕刊と灰皿を持ってウロウロしている。
晩メシまでの間、座るところもない。
そこに登場するのが夫の座としての書斎である。
書斎でゆっくり紫煙をくゆらせて、ささやかな亭主関白の座を確認する。
ということで、ここ数年書斎をもつというのは世の亭主族の願望のようである。
近世から現代にかけて、和風住宅の主流を形成した様式に書院造りがある。
この書院も本来書斎なのだが、身分を誇示しなければならなかった主人の日常生活の場でもあっただけに、若干身分不相応になりがちであった。
書院の作例は明治以降も多いが、多くは田舎紳士や成金趣味で、ほんとうに美しいのは、書院本来の機能を重視した桃山以前のものである。
つまり、古今東西、書斎はどうしてもステイタスーシンボル、あるいは単なる自己満足と結びつきやすいが、必要のない装飾やスペースをとるのはどうかということである。
非常に立派な書斎をつくったとしても、本を読んだり、ものを書いたりする際に、実際に書斎を使うかどうかは保証のかぎりではない。
むしろ大半の人は、ベッドやソファに寝っころがって訊書にいそしんでいたりするのではないか。
また、電車の中が自分の読書空間と決めている遠距難通勤者を私は知っている。
書斎で机に向かって知的生活に挑むという人は少ないだろう。
遊ばせておくためだけの書斎ならば考えなおしたほうがいい。
しかし、男性の仕事も時代とともにきびしくなり、家に帰って専門書を読むこともある。
あるいは家庭に仕事をもち帰るということもしばしばである。
したがって、狭くてもよいから、亭主専用のスペースを設けたいものである。
二畳程度の広さで、本棚をつくり付けにしたらよい。
あまり広いものよりも、手を伸ばせば何にでも届くくらいのスペースのほうがかえって使いよい書斎になると思う。
どうしても書斎のスペースが取れない場合は、寝室あるいは、個室の片隅に本をもちこめばよい。
寝室の一部につくり付けの本棚を設け、読書のために折りたたみ式の机を設置すれば、立派な書斎コーナーになる。
私は大学の研究室へ出る以外は、家で仕事をしているわけであるから、当然仕事部屋即ち書斎をもっている。
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